プロローグ・・1 定年退職の日

寂しいような嬉しいような定年退職の日。

若い人達から花束やら、記念品やらを戴いて拍手で送られる。

会社を出る際に正門に向かって深々と一礼。長い間有難う御座いました。

一生懸命仕事に励んでそれなりに貯金も出来た。

思っていたよりチョットだけだが多めに出た退職金。年金も支給される。

自分に与えられた時間は十分にある。

分不相応な贅沢さえしなければ忙しくて出来なかった事が出来る待ちに待った第二の人生の始まりだ。

の はずだったのだが そんな話は私の12~13年ほど先輩の話だ。

「年金の支給は65歳からになりました。それでは可哀そうだからあなたの場合は61歳から報酬比例部分として年金の半額程度になりますが支給されますよ。

それでも可哀そうだから会社の方で65歳までは再雇用してくれますよ。

働く時間は1日5.5時間でいいですよ。1時間当たり千円チョットのパート社員ですってね。

良かったですね。」 完全に馬鹿にされています。

今まで懸命に働いてきたのにそんな仕打ちはひどいですよ。なんとかしてよ。

そんなこと言ってもしょせん私なんか世間の極小歯車の身ですからクルクル黙って回されます。

これでも若い頃は企業戦士などともてはやされって言うか、調子に乗せられて一生懸命仕事をしてきたんです。

その結果、時間に余裕が出来てしまうと何をしていいのか分からない。

ただ女房の後を追い回して邪魔にされる毎日。

これではイカン。何か金のかからない趣味(出来れば女房に褒められるような実益も出ればなどと・・)を探さなければ。

ゴルフはダメだ。金がかかり過ぎる。その前に腰が痛くて足もつる。実益は無理だ。

プロローグ・・2 へ続く


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